■天然皮革について
天然皮革は、動物の皮を化学的・機械的な処理をして、腐敗しにくい、しかも柔軟性、 耐熱性、耐水性のある革に生まれ変わらせたものです。 |
 |
| 長所 |
吸湿、放湿性に優れる |
ランダムに交差するタンパク質繊維の隙間が、水分をよく取り込み、放出します。透湿性もありますので、衣服や靴はムレにくくなっています。 |
 |
保温性がある |
組織が緻密なので、風を通しにくく、高い保湿性があります。 |
 |
体にフィットする |
皮の持っている適度な柔軟性と伸縮性により、体に良く馴染みます。 |
| 短所 |
色落ちしやすい |
革は熱に弱く、繊維製品のように高温での染色ができないため、色落ちしやすくなっています。(起毛皮のものは特に注意が必要) |
 |
熱・水に弱い |
熱が加わると、硬く収縮します。また、水に濡れても硬くなりますので、雨の日のご使用はお避けください。もし、濡れてしまったらタオルやハンカチで
水分を吸い取り、風通しの良い日陰で自然乾燥させてください。ドライヤーやストー ブの熱で急激に乾燥させると、硬く収縮し、回復しなくなります。
|
 |
汚れやシミが浸透しやすい |
汚れやシミが付着すると皮の組織の奥まで浸透し、落と
しにくくなります。使用前に皮専用クリームや防水スプレーを使用し、表面に被膜を 作ることで予防しましょう。
|
 |
カビが生えやすい |
革はタンパク質・脂肪・水分を含んでおり、カビにとって格好の
栄養源。湿度の高い状態ではカビが生えやすいので、まめに風を通してカビの発生を 防ぎましょう。一度カビが生えてしまうと、カビの色素が沈着することがあり、完全
に取ることが困難です。また、一層カビが生えやすくなりますので、最初の予防が肝 心です。 |
 |
素材が不均等 |
人間の肌がそうであるように、動物の肌も一匹ずつ、また部位によっ
て厚みやきめの細かさが違います。このため、何匹かを繋ぎ合わせて作る衣服や鞄は 表面の状態が微妙に違います。 |
 |
他の素材との接触は厳禁 |
エナメル加工品は、他の物との接触で色移りや表面の組織
が損傷する場合があります。特に、塩化ビニールやポリウレタンコーティングとの接 触で表面の被膜が剥離したり、色移りします。使用の際には接触を避けると共に、薄
紙で包んで保管しましょう。 |
 |
| 原料による分類 |
| 牛:
見た目にも美しく、耐久性があります。牛の成長度合いにより分類されています。 |
 |
カーフ |
生後約6ヶ月の子牛の革。牛革の中でも最も薄手できめが細かく上質。
|
 |
キップ |
生後約6ヶ月〜1年以内の中牛。カーフに比べるときめは粗くなりますが、
その分、厚みが加わり丈夫さが増してきます。 |
 |
カウ |
生後約2年のメスの成牛。キップよりもさらに厚みが加わります。 |
 |
ステア |
生後約3〜6ヶ月以内に去勢し、生後約2年以上たったオスの成牛。平均した厚みを持ち、強さや丈夫さに優れています。また、柔らかくてやさしい手触りが特徴。 |
 |
ブル |
生後3年以上たったオスの成牛。厚手ですが傷が多く、組織の粗さが目立ちま
す。 |
| 豚:
表面に3つずつ並んだ毛穴が特徴です。 |
 |
ピッグスキン |
きめは粗いですが摩擦に強いのが特徴です。
|
 |
ペッカリー |
中南米、アマゾン川流域産の野豚の一種。ムレにくく、傷や型崩れに強
くなっています。ワシントン条約で捕獲制限を受けているため、入手は困難です。 |
| 羊:
軽くて柔らかい、高級素材です。 |
 |
ラム |
仔羊の革。薄くて柔らかく、感触が良いのが特徴。
|
 |
シープ |
成羊の革。ラムと同じく薄くて柔らかく、伸縮性があります。
|
| 山羊
:革が薄く、柔軟性と強靭性に富んでいます。 |
 |
キッドスキン |
子山羊の革。薄くて柔らかく、きめが細かく、上品な光沢があります。 |
 |
ゴートスキン |
山羊の革。ややきめが粗く毛穴が目立ちますが、型崩れしにくく、通
気性に富んでいます。 |
| 馬:柔らかくてきめが細かく、美しい光沢があります。
|
 |
コードバン |
馬の尻の革。特に光沢感があり、耐久性にも優れています。
|
| その他
:非常に高価な素材として珍重されています。 |
 |
鹿 |
傷が多いので銀面を取り除き、バックスキンとして主に使用されています。
|
 |
カンガルー |
軽くてしなやかなうえに丈夫。高級素材として珍重されています。
|
 |
ダチョウ(オーストリッチ) |
表面の羽軸模様が最大の特徴。カンガルーと同じく、
高級素材として珍重されています。 |
 |
爬虫類 |
ワニ・ヘビ・トカゲなど、特徴のある表面の模様が珍重されています。産地・
種類によって大きさ・厚さ・模様などが異なります。 |
 |
| 加工方法による分類 |
 |
銀付革(表革) |
銀面(皮革の表面、毛穴のある側)に着色して、艶出ししたもの。
着色の方法により、アニリン染・水染等があります。 起毛革;ベロア:牛革の裏面を起毛させたもの。スエードより毛足が長くなっていま
す。 |
 |
型押し革 |
加熱高圧プレスを用いて図柄の型が付いています。 |
 |
ヌメ革 |
タンニンなめしによるもので、比較的柔軟性があります。 |
| 起毛革 |
ヌバック |
牛革の銀面をサンドペーパー等で擦り、ビロードのような風合い
に仕上げたもの。毛足が短く上品な印象です。 |
 |
スエード |
銀面の裏面をサンドペーパー等で起毛させたもの。ヌバックより
毛足が長くなっています。 |
| ベロア |
牛革の裏面を起毛させたもの。スエードより毛足が長くなっていま
す。 |
| バックスキン |
現在ではスエードと同じ意味で使用されていますが、本来は
鹿の銀面を起毛させたもの(buckskin)をいいます。 |
| セーム革 |
鹿や羊など繊維の細い小動物の床革(とこがわ)を油なめしによ
りスエード調に仕上げた革。しなやかで吸水性があります。 |
| エナメル革 |
銀面に油脂や合成樹脂を厚く塗って、鏡のような光沢を出した革。表面
がデリケートで傷や諮問が残りやすいのが特徴。 |
| ガラス張り革 |
銀面をサンドペーパーで擦ってから、樹脂や顔料を塗り、ガラス板や
ホーロー引き鉄板に張り付けて乾燥させたもの。成牛がほとんどです。 |
| シュリンク革 |
なめしの工程中に薬品を用いて革を縮めたものです。
|
 |
| なめし方法による分類 |
 |
クロムなめし |
鉱物性のクロムを使用。なめし後は青色の革になります。タンニン革
に比べ吸湿性は大きいですが、吸水性は小さいのが特徴。耐熱性、耐久性、染色性が 良く、革が軽いことからなめしの主体となっています。 |
 |
タンニンなめし |
タンニンを使用。革は茶褐色ですが、日光にあたると酸化して暗色
になります。クロムなめしに比べ、伸びや弾性が少なく耐熱性に劣りますが、可塑性 に富んで成形性が良いのが特徴。靴底や手工芸品に多く使用されています。
|
 |
複合なめし |
クロムやタンニン等の複数のなめし剤の特性を生かしたなめし方法で、
防水革・ベルト用革・家具用革等に使用されています。 |